「苦手を見つける」
勉強をしているとき、「なんとなくこの教科は苦手かも」と、はっきりしない不安を抱えたまま進んでしまうことがあります。でも、ぼんやりしたままでは、本当の対策も、自信も育ちにくいのです。この段階では、自分の苦手を、具体的に言葉にして見えるようにする力を育てていきます。たとえば、・「英語の並びかえ問題が特に不安」・「数学で分数計算になるとミスが増える」・「理科の用語は覚えているけれど、応用問題になると混乱する」──こんなふうに、どこでつまずくかをはっきりさせることで、「ここを直せば、もっと良くなる」という道筋が見えてきます。また、先生や家族に相談するときも、「ここが苦手です」と伝えられれば、アドバイスもより的確なものになります。「なんとなく苦手」ではなく、「ここが苦手」と示せる力。それは、苦手を成長の力に変えるための、確かな第一歩です。苦手な教科に向き合おうとしたとき、問題集や教科書を広げたまま、「やっぱり難しいかも」と、手が止まってしまうことがあります。この段階では、苦手な教科をもっと小さく分けて、一つずつ整える力を育てていきます。たとえば理科の電流分野なら、・「オームの法則」・「電力量」・「直列回路と並列回路」──こんなふうに、テーマごとに小分けにして、「今日はこの一つだけ」と決めて取り組みます。教科全部をいきなり克服しようとするのではなく、“一つひとつならできる”と感じる設計に切り替えるのです。また、・「まず1ページだけ進める」・「まず1問だけ考えてみる」──このように、ほんの少しだけ始めることで、心の負担を軽くして、自然に集中できる流れを作ることもできます。苦手を乗り越えるのは、気合や勢いではありません。分けて、積み上げる設計が、確かな力になります。「全部が重たく見えた教科」を、「一つずつなら進める」と思える。──それが、この段階で大切にしていく感覚です。
「力を積み上げる」
苦手な教科に取り組んでいると、応用問題でつまずくことがあります。でも実は、多くの場合、応用が難しいのではなく、基本の操作がまだ不安定なだけなのです。この段階では、自分がつまずいている基本の型を見つけて、もう一度、丁寧にそろえる力を育てていきます。たとえば数学なら、・計算の順番・分配法則(かっこの外し方)・マイナスのつけ忘れ──こういった基本が少し曖昧なままだと、応用問題も不安定になります。英語でも、・主語と動詞の順番・三人称単数のs──こうした基本文型のズレが、小さなミスを引き起こします。この段階では、「ここまで戻っていいのかな」とためらわず、原点から土台を準備することを大切にします。基本型がきちんと体に入ると、応用問題にもあわてず、落ち着いて取り組めるようになります。苦手を直すとは、たくさんの応用問題をこなすことではなく、まず自分の中に“揺るぎない基本”を育てること。それが、この段階で目指していく道筋です。同じようなミスを何度もしてしまう。そんな悩みを持つ生徒は少なくありません。でも、その原因を見える形にせず、ただ「またできなかった」と感じるだけでは、なかなか前に進む力にはなりません。この段階では、自分のミスのくせを整理して、同じ落とし穴を避けられる力を育てていきます。たとえば、・計算ミスの多くが「符号(+−)の見落とし」からきている・理科の語句で「漢字の細かいところ」で失点している・選択肢問題で「正しくないもの」を選び間違えている──こうしたミスの傾向は、人それぞれ違います。この段階では、問題を解き直すときに、「どんなミスだったか」「なぜ起きたか」をまとめていきます。すると、次に問題に取り組むときに、「ここは気をつけよう」と、自然に目が向くようになります。学びとは、ミスをゼロにすることではなく、同じ間違いを減らしていく歩みです。間違いを責めるのではなく、見つめて、次に生かす設計を大切にする。この段階は、苦手克服に向けた、確かな力を育てるための土台になります。
「できるを増やす」
苦手な教科に向き合ったとき、「全部できないかも」と感じ、手が止まってしまうことはよくあります。でも、本当に大切なのは、「できるところから確実に拾っていく」設計力を持つことです。この段階では、得点できそうな部分を冷静に見極め、そこを着実に積み重ねる力を育てていきます。たとえば、社会が苦手でも、・基本用語の意味は押さえる・記述問題は無理せず、選択問題に集中する──そんな小さな作戦が、実は大きな得点力になります。また、過去のテストをふり返り、「取れた問題」と「落とした問題」 を整理しておくことで、次に向けた勝ち筋を描くことができます。全部を完璧にしようとする必要はありません。「ここは取る」という場所をしっかり設計する。それが、限られた時間の中で成果を高める本当の知恵です。学びとは、苦手を無理やり押し込むことではなく、できるところから広げていく作業なのです。この段階は、苦手を受け止めながら、確かな一歩を積み上げていくための力を育てていきます。苦手な教科に向き合うとき、いちばん大切なのは、「できるようになった」という小さな手応えを、積み重ねていくことです。この段階では、苦手なところに変化が生まれたことを自分で気づき、自分の成長をしっかり感じ取る力を育てていきます。たとえば、最初はまったくできなかった数学の関数問題が、今では3問中2問は正解できるようになった。英語の文法問題で、前よりもミスの数が減った。こうした小さな進歩を、自分で見えるようにしていきます。具体的には、最初に「今できない問題リスト」を作り、しばらくたってからもう一度解き直す。すると、できるようになった問題が自然に見えてきます。苦手を直すというのは、「誰かに認めてもらうため」ではなく、自分の中に少しずつ変化を積み上げていくことです。「前よりできる」「間違えずに進んだ」──そんな喜びを、一つひとつ確かめながら歩いていく。この段階では、ただ苦手を克服するのではなく、苦手の中に、自分の成長を見つける力を育てていきます。