「わかる」をつくる
理科・社会で高得点を目指すための第一歩は、「どこで確実に点を取るべきか」を、はっきりと見きわめることです。よく「全部をまんべんなく覚えよう」としてしまいがちですが、それでは時間がかかるわりに、成果につながりにくいことが多くなります。この段階では、まず都立高校入試について、出題の傾向や特徴、配点の割合、記述と選択のバランスなどを丁寧に整理していきます。さらにどの範囲からよく出るのか、資料や図表が多いか、語句重視か説明重視かといった点もまとめます。これによって、生徒は「まずここを押さえれば8割は取れる」「この資料の読み方を練習すれば、さらに点が伸ばせる」と、勉強の見通しを持って進められるようになります。また、保護者の方からよく聞かれる「覚えているはずなのに点が取れない」という不安も、実は“勉強している場所”と“出題される場所”がずれていることに原因がある場合が少なくありません。この段階では、学習の方向と出題範囲を一致させることで、無駄なく確実に得点へつながる学び方を準備していきます。理科や社会の学習において、ただ覚えるだけでは、一時的な得点にはつながっても、資料を読み取ったり、記述形式の問題に対応したりするには限界があります。この段階では、「なぜそうなるのか」「背景にはどのような事情があるのか」といった、意味を意識した学び方に静かに重心を移していきます。たとえば地理で「北海道は畑作が多い」と覚えるだけでなく、「なぜ米づくりよりも畑作なのか」「そこに関係する気候や流通の事情は何か」といった背景をたどって理解を深めます。理科でも「電流と電圧は比例する」という知識を単なる公式で終わらせず、「なぜ比例関係になるのか」「グラフは何を表しているのか」といった視点から、図やイメージを交えながら概念を整理していきます。こうした取り組みによって、単なる暗記ではなく、「意味の通った知識」として記憶が定着し、初めて出会う問題にも落ち着いて対応できる力が育まれます。保護者の方が感じる「覚えているのにミスが多い」という不安も、その多くは理解の浅さから生まれています。この段階を通じて、学びの根が深まっていく手応えを実感していただけるはずです。
「できる」を重ねる
理科や社会で得点を安定させるためには、覚えた知識をその場で正しく引き出し、使える形に準備することが大切になります。この段階では、学んだ内容を「ジャンルごと」「因果関係」「時の流れ」「地図や図と結びつける」といった形で、土台から整理していきます。たとえば歴史では、出来事の順番だけでなく、「政治・経済・文化」といった切り口で並べ、横のつながりを意識します。地理では、気候・農業・産業・交通などを地図とあわせて立体的に捉える練習をします。理科においても、「現象が起こる理由」「結果」「実験の方法」「注意すべき点」といった流れをまとめることで、知識を点ではなく線でとらえられるようにしていきます。こうした整理によって、学んだことがバラバラにならず、問題に応じて自然と取り出せる「頭の棚」ができあがります。保護者の方にとっても、「努力しているのに点が安定しない」「覚えてもすぐ忘れてしまう」と感じていたお子様の学びが“準備されていく”過程を実感できる段階となります。ただ知識を増やすのではなく、「使える形にまとめていく」。この視点を育てることが、この段階の大切な役割です。理科・社会で確かな得点を重ねるためには、知識を持っているだけでは足りません。「時間内に」「正確に」「落ち着いて」引き出し、解答できる力を養うことが求められます。この段階では、実際の定期テストに近い形で演習を積み重ね、知識を使いこなす力と得点力の両方を磨いていきます。出題形式や設問順、記述欄の大きさや時間配分にも配慮しながら、「本番に向けて、無理なく力を発揮できる状態」を準備していきます。特に大切にするのは、単元ごとの復習にとどまらず、「範囲全体から問われる中で、正しく選び取る力」を育てることです。これは、単語は覚えているのに点が伸びない、選択肢で迷いやすい——そうした課題を静かに解きほぐす働きを持っています。また、解答のスピード感や、記述に必要な字数感覚、答え方の型も、ここでひとつひとつ整えていきます。保護者の方にとっても、「演習を重ねてきた」という事実が、お子様の学びに対する安心感へとつながる段階となります。この段階で育むのは、単なる知識量ではなく、「知識を得点へとつなげる力」です。
「自信」に変える
都立高校入試の理科・社会で100点を目指すうえで、大きな壁となるのは、ほんの小さなミスや、思い込みによる失点です。この段階では、演習結果を丁寧に振り返りながら、ミスの種類を静かに整理し、それぞれに合った補い方を進めていきます。たとえば、「語句の記憶違い」「表現のあいまいさ」「設問の読み違い」など、ミスの背景を一つずつ見きわめた上で、必要な復習(再チェック、一問一答、まとめ直し、説明練習など)を慎重に選びます。また、ケアレスミスと呼ばれる間違いの多くも、実は「記憶があいまいだった」「理解がまだ浅かった」といった原因が隠れており、そこに静かに手を入れることで、得点の安定が確かなものになります。さらに、これまでのテストを見直しながら、「自分の間違いやすいところ」に気づけるようになると、子ども自身が「次はこうすればよい」と考えられるようになります。保護者の方にとっても、「ミスが減らない」という悩みが、根本から少しずつほぐれていく過程を実感できる段階となります。この段階では、ただ得点を上げるのではなく、「得点を守る力」を静かに育てていきます。最後の段階では、「たまたま正解できた」という状態ではなく、「自分の力で正しく積み上げた」という手ごたえを持てるようにしていきます。ここで大切になるのは、「自分ひとりでも正確に答えまでたどり着けるか」という視点です。ただ暗記するだけでは、時間がたつと忘れやすくなりますが、「説明する」「書いてまとめる」「自分で問題を作ってみる」といった形で知識を使いながら確認することで、記憶がしっかり根づきます。たとえば、授業で習った内容を口で説明してみたり、友だちとクイズを出し合ったり、自分で小テストを作って答え合わせをする練習も取り入れていきます。また、テスト直前にまとめて復習するだけでなく、普段の勉強の中で少しずつ計画的に見直しを続けることによって、理科や社会を安定した得点源にしていきます。保護者の方にとっても、「先生がいないとできない」という状態から、「自分で復習して進められるようになった」という成長を感じられる時期になります。学びが、誰かに言われてやるものから、自分で動かすものへと、静かに変わっていく段階です。