自校作成校と共通入試校の違い(英数国)

分類/観点 自校作成校入試 共通問題校入試
定義・背景 各高校が独自に問題を作成(大学入試のような性格) 都道府県教育委員会が共通問題を作成・全体で同一問題
目的・方針 学校ごとの教育方針に合った生徒を選抜(探究・論理型志向) 広く標準化された学力を測ることを重視
出題形式 記述式・論述型中心/誘導や考察あり/分量多め 選択式・記号問題中心/短答・計算・基本事項が中心
時間配分・配点 各校が自由に設計(例:国・数60分、英50分など)/傾斜配点あり 教科ごとに時間が統一されている(例:各45分)/基本的に均等配点
出題傾向(国語) 長文+記述式中心/要約・論点整理など構造的読解を重視 長文+選択肢/短文記述もあるが採点は簡易
出題傾向(数学) 誘導型・応用型中心/文章題・記述説明/計算+思考プロセス重視 基本問題中心/計算問題と1~2問のやや難度高めの応用
出題傾向(英語) 長文+自由英作・整序・要約/内容の深さ+表現力が重視 長文読解+選択/文法語法の基本的な定着が主眼
理社・作文など 学校により理社出題や作文・小論文/思考型・記述型 多くは理社あり/選択中心で、知識量と正確性が重視
思考力・表現力 自分の言葉で考えを構成・説明する力/論理的展開力が鍵 事実の正誤や知識の定着に基づいた判断力
記述量と表現負荷 解答欄が広く記述量多め/答案構成が評価対象 記述があっても短文で、構成力はあまり見られない
難易度の質的差 「応用力・考える力」に軸足/深い理解・表現が問われる 「標準的な学力」を丁寧に身につけているかに重点
学習曲線の違い 対策に時間がかかる(過去問演習・記述練習が必須)/学習量+質が求められる 教科書中心+塾教材/定型問題の反復練習で対応しやすい
適性の違い 自分の考えを深めて表現できる生徒/時間をかけて力を伸ばせるタイプ向き 学習を着実に積み重ねてきた生徒/コツコツ型・スピード処理型に向く

自校作成校入試 vs 共通問題校入試


🔹 定義・背景

  • 自校作成校入試:各高校(例:日比谷高校・湘南高校・西高校など)が独自の問題を作成。
    → 大学入試に似た構造で、学校の教育方針や求める資質に直結する出題が可能。

  • 共通問題校入試:都道府県教育委員会が一律に作成した問題(例:東京都共通問題、神奈川県共通選抜など)を使用。
    公平性・標準化を重視し、県内全体の学力を同一の尺度で測る設計。


🔹 目的・方針

  • 自校作成校:探究的・論理的・自主的な学びに親和性のある生徒を見抜くのが目的。
    → 思考・記述・応用に長けた「伸びしろのある生徒」向け。

  • 共通問題校:幅広く中学生の学力水準を正確に測ることを重視。
    → 標準的学習内容の「理解度と定着度」を中心に評価。


🔹 出題形式

  • 自校作成校:記述式・論述型が中心。誘導・思考プロセス・自力構成が求められる。
    → 1問に対する解答分量も多く、設問構造が複雑な場合がある。

  • 共通問題校:選択式が中心で、正確に早く処理できる力が重要。
    → 全員が比較的スムーズに解けるような問題構成。


🔹 時間配分・配点

  • 自校作成校:科目ごとに時間が異なる。例:国語60分、英語50分など。
    → 一部教科で**傾斜配点(例:国語×1.5倍)**があることも。

  • 共通問題校:原則45分×5教科。全教科均等配点。
    効率と比較可能性を重視した時間設計


🔹 出題傾向(教科別)

教科 自校作成校の特徴 共通問題校の特徴
国語 長文記述・論点整理・要約など「構造的読解」 選択肢と短文記述中心、比較的シンプルな読解
数学 誘導型記述・文章題/思考の途中を記述する構成 計算+1〜2問の応用。思考力よりも正答重視
英語 要約・整序・自由英作など「論理と構成」重視 文法・語彙・読解をバランスよく確認。自由英作は少ない

🔹 理社・作文の扱い

  • 自校作成校:理社・作文・小論文は学校ごとに有無が異なる
    → 高次元の論述型が出題されることも(特に日比谷・西)。

  • 共通問題校:原則として理社は選択式中心。作文は推薦・特色選抜などで一部使用。
    → 知識・事実の正確性を中心に評価。


🔹 思考力・表現力の評価

  • 自校作成校自分の言葉で思考・構成・表現できるかが合否を分ける。
    → 単なる「正解」よりも、論理の筋道と答えの導出方法が重要。

  • 共通問題校:与えられた知識を正確に再現できるかに重き。
    → 判断力や読解力は必要だが、創造性や構成力の評価は少なめ


🔹 記述量と表現負荷

  • 自校作成校:1問あたりの解答欄が広く、構成力も見られる
    → 特に国語・英語では文章力と論理性が採点の焦点になる。

  • 共通問題校:記述があっても短文。採点の公平性を担保しやすい形式で統一。


🔹 難易度の質的差

  • 自校作成校「深い理解・活用・説明」が必要な応用型問題が多い。
    → 知識をどう使うかが問われる、まさに「大学入試型」。

  • 共通問題校:教科書レベルの学習がしっかりできていれば対応可能。
    → 「正確に基本を解けるか」が重視される。


🔹 学習曲線の違い

  • 自校作成校記述力・構成力を育てる時間が必要
    → 対策には中2〜3からの計画的な準備と反復演習が必要。

  • 共通問題校:教科書+標準問題で対応可能。反復重視型の学習で成果が出やすい。


🔹 適性の違い

  • 自校作成校自分の考えを深めて言語化する力を持った「構造的・内省的な学習者」向き。
    → 自学自習力・知的好奇心が強い生徒に適している。

  • 共通問題校コツコツ型・安定志向型の生徒に向く。
    → 定型演習・知識の定着に強いタイプが有利。