「安心して学べる環境をつくる」
勉強していて「ここ、わからないな」と思ったとき、すぐに先生に聞けるかどうかは、これからの成長にとって、とても大事なことです。でも、「こんなこと聞いていいのかな……」「先生に怒られたらどうしよう……」そんな不安で、なかなか声を出せない子も、少なくありません。この段階では、先生と生徒が安心して話せる空気を、ゆっくりと育てていきます。たとえば、授業のはじまりに「こんにちは、今日の体調はどう?」といった声かけをしたり、説明の途中で「ここまで大丈夫?」と目を向けたり。こうした小さなやりとりの積み重ねが、やがて「この先生なら、なんでも聞ける」と思える気持ちを、心の中に育ててくれます。信頼は、むりに作るものではなく、自然と生まれるものです。だからこそ、「わからない」と言えることが、勉強の第一歩なのです。「わからないことがあったら、聞いていいんだよ」そんな空気を大切にすることが、この段階のいちばんの目的です。「質問していいよ」と言われても、心の中では「本当に聞いても大丈夫かな……」と感じてしまう子は少なくありません。また、「どこが分からないのか、うまく言えない……」そんな戸惑いを抱えていることもあります。この段階では、質問することが、あたりまえで自然なこととして感じられるような、あたたかな空気をつくっていきます。たとえば先生が、「このあたり、ちょっとむずかしいところだけど、大丈夫?」「ここ、少し引っかかりやすいから、確認しておこうか」——そんなふうに、やさしく声をかけることで、生徒も安心して「実はそこがよく分からなかったんです」と、静かに話しはじめることができます。個別指導では、このような問いかけの“きっかけ”をたくさんちりばめることで、「聞いていいんだ」「分からないって言ってもいいんだ」という気持ちを、少しずつ育てていきます。質問とは、わからない自分を責めることではなく、“もっと分かりたい”という前向きな気持ちのあらわれ。この段階では、「質問は学びの力になるんだ」という安心と誇りを、子どもたちの中に育てていきます。
「わかる実感を積み重ねる」
勉強しているとき、「最初は分かっていたのに、気づいたら分からなくなっていた……」そんなことは、誰にでもあります。とくに集団授業では、「今さら聞き直せない」「止めてとは言えない」そう思って、分からないまま流されてしまうこともあります。この段階では、説明を小さく区切って、そのつど確認することを大切にしながら、「ちゃんと分かったかどうか」「どこかで不安はなかったか」を、やさしく確かめていきます。たとえば、先生が「ここまで、どう? 分かってきたかな?」「ちょっと難しかったかもしれないね。今のところ、もう一度いっしょに見てみようか」そんなふうに、声をかけてくれると、子どもたちの心にも自然と“聞いてみようかな”という気持ちが生まれます。個別指導では、「分からないことがあったら、すぐに立ち止まって聞いてもいい」そんな安心できる空気がしっかりと整っています。学びは、「速く進むこと」ではなく、「一歩ずつ、自分の足で進んでいる実感」が大切です。“分かったつもり”をそのままにせず、ちゃんと確かめながら進む。その丁寧な歩みこそが、本当の力へとつながっていくのです。勉強しているとき、「みんなは分かってるのに、自分だけが分からないのでは……」と、不安になったことはありませんか。その気持ちがあると、「聞きたい」と思っても、なかなか手が挙がらないものです。この段階では、先生のほうから「ここは多くの子がつまずく場所です」とあらかじめ伝えることを大切にします。たとえば、 「この問題、式の書き方がややこしくて、間違える子が多いんですよ」「この単語は、見落としやすいから気をつけようね」——そんなふうに先生に言われると、子どもたちは、「自分だけじゃないんだ」「聞いてもいいんだ」と、安心して学びに向かう気持ちになれます。個別指導の場では、たくさんの子どもたちを見てきた先生が、「ここでつまずきやすい」と分かるポイントにあらかじめ光を当ててくれるので、ひとりで迷子になることがありません。学びは、間違えないことが目的ではなく、間違いをきちんと見つけて、越えていくこと。「まちがえても大丈夫」「みんなにもそういうところがある」と思える空気があるからこそ、人は安心して一歩前に進めるのです。
「自ら考える力を伸ばす」
勉強をしているとき、「この前も質問したのに、また聞いていいのかな……」と、ためらってしまうことはありませんか。けれども、本当に分かるようになるためには、何度でもくり返して聞くことが、とても大切なのです。この段階では、先生のほうから「もう一度聞いて大丈夫だよ」「わかるまで、ゆっくり一緒にやろうね」と声をかけてくれる、あたたかな空気を大切にします。たとえば──「さっきのところ、もう一度ゆっくり説明しようか」「何回でも聞いていいからね。遠慮しなくて大丈夫ですよ」——そんなふうに言ってもらえると、子どもたちは、「何度聞いてもいいんだ」「立ち止まって考えることは悪いことじゃないんだ」と、安心して学びに向かうことができます。個別指導の場では、「聞き直すこと」を責めたりしません。むしろ、何度も問いかけることこそが、「分かる」の近道だと考えています。「前にも聞いたけれど、もう一度聞きたい」その思いを、自然に口にできる場所。それが、学びを深める本当のスタート地点になるのです。勉強をしているとき、「先生がこう言ったからそうなんだ」とそのまま受け入れるだけでは、本当の力にはなりません。本当に深く理解できたときというのは、心の中に「どうして?」「本当にそうかな?」という小さな疑問が生まれたときです。この段階では、教わったことをそのまま覚えるだけでなく、自分の言葉で問いを立て、考えてみる力を育てていきます。たとえば、個別指導では、先生のほうから「ここ、どう思った?」「なぜこうなると思う?」とやさしく問いかけてくれます。すると子どもたちは、「あれ?なんでこうなるんだろう」「ちゃんと自分の言葉で考えてみたいな」と、小さな“学びの火”を心の中に持ちはじめます。その火を、そっと外に出していく。「どうしてだろう?」という気持ちを、声にしてみる。それはもう、「教えられる人」ではなく、「自分で学んでいく人」への静かな一歩です。「なぜ?」と思うことは、まちがいでも不安でもありません。その問いこそが、学びを前へ進める力になるのです。自分で問い、自分で考え、そしてまた次の問いを見つけていく——そのくり返しが、ずっと伸び続ける力になります。