小学5・6年 苦手を見つける

 

主な内容 よくある小学生のつまずき例
① 単元別確認 算数・国語・理科・社会の単元を細かく分けて、どこで苦手があるかを発見する 計算はできても文章題になると手が止まる/語句を覚えても使えない
② 処理レベル診断 知っているだけか、使えるか、応用までできるかをはっきりさせる 計算はOKでも図にすると混乱/単語は知っていても説明できない
③ 問題タイプ分解 記述・図解・選択肢など、出題形式ごとにどこが弱いかを整理する 記述だけ点が低い/図の読み取りに時間がかかる/選択で迷いすぎる
④ ミスパターン共有 ただのミスではなく、どんな考え方のズレがあったかを一緒に確認する ケアレスだと思っていたら、実は考え方の根本がズレていた
⑤ 自覚+記録支援 「なにが苦手か」を自分の言葉でふり返り、記録して整理する 苦手を感覚でしか捉えていない/ふり返りが続かない
⑥ 対策計画接続 見つけた苦手に対して、「どこから直す?どう対策する?」を考える 苦手のまま放置/次の学習にどうつなげるかが分からない

① 単元別確認 どこで止まっているかを細かくチェックする力

「算数は苦手」「国語が苦手」と言っても、本当はどの単元でつまずいているのか、自分でも分かっていない小学生は多いです。この層では、算数・国語・理科・社会の内容を“もっと細かく分けて”確認し、どこから苦手になっているかを見える形で整理します。たとえば算数なら「割合の計算はできるけど、文章題になると手が止まる」「式は立つけど、言葉の意味が理解できていない」といったように、“単元の中のどこで止まっているか”を具体的に見つけていきます。国語では「漢字は読めるけど、文の中では使えない」「説明文の構成が分からない」などが典型例。こうした細かいチェックをすることで、ただ「苦手」という感覚だけで終わらせず、「ここから復習すればいい」という道すじが見えてきます。苦手の正体がわかれば、不安は小さくなる。苦手のままにしない第一歩は、「場所を特定する力」です。

② 処理レベル診断 “どのレベル”でつまずいているかを見分ける力

同じ単元を学んでいても、「知識はあるけど使えない」「操作はできるけど説明できない」など、人によってつまずいている“深さ”は違います。この層では、その子が「知っているだけ」なのか、「使いこなせるのか」、「応用できるのか」まで含めて、どのレベルで止まっているのかを見分ける力を育てます。たとえば理科で「実験の名前は覚えているけど、結果の意味が説明できない」、社会で「語句は覚えているけど資料と組み合わせて考えると混乱する」、算数で「計算はできるけど文章題になると手が止まる」——こうした状況では、それぞれ別の対策が必要になります。個別指導では、その子の「できている部分」と「まだ甘い部分」を分けて見ていきます。そうすることで、「全部苦手」ではなく「ここまではできている、ここからが課題」と前向きな気持ちになれるのです。苦手を“深さ”で見ることは、正しい対策を選ぶための土台になります。

③ 問題タイプ分解 問題の“形式”ごとの得意・苦手を見わける力

テストで点が取れない理由は、「内容が分かっていない」だけではありません。「どんな形で出されたか(=形式)」によって、答えられるかどうかが大きく変わることもよくあります。この層では、「記述式」「選択式」「図解問題」など、問題の出され方ごとに、どれが得意でどれが苦手かを見分けていきます。たとえば、「選択肢なら消去法でなんとなく解けるけど、記述になると手が止まる」「図が出てくると頭が真っ白になる」「記述は書けるけど、字数や時間配分がうまくできない」といったように、同じ単元でも形式によってつまずき方は変わります。これに気づかず「この教科は苦手」とまとめてしまうと、得意な形式にも気づけず、もったいない勉強になってしまいます。形式ごとの得意・苦手を知ることで、テストの取り組み方や演習の優先順位も変えられるようになります。

④ ミスパターン共有 “どう間違えたか”を一緒に見つける力

「ケアレスミスでした」と言っているうちは、本当の原因にたどり着けません。この層では、その子がどんな考え方をして間違えたのか、“思考のズレ”を一緒に見つける力を育てていきます。たとえば、「式は合っているのに途中で数字を取り違えた」「問題文の条件をちゃんと読んでいなかった」「選択肢の2つで迷って間違ったほうを選んだ」など、間違い方にはパターンがあります。そしてその多くは、“ただのミス”ではなく、“考え方のくせ”や“読み取り不足”などの根本に原因があります。先生と一緒に「どうしてこの答えになったのか」をさかのぼって分析すると、同じミスを防ぐ力がついてきます。問題を直すだけでは不十分。「なぜミスしたか」が分かると、「次はどうすればいいか」が見えてきます。この習慣が中学・高校の学びにも生きる「自己修正力」になります。

⑤ 自覚+記録支援 自分の苦手を言葉で説明できるようになる力

「なんとなく苦手」「たぶん苦手」では、いつまでたっても対策がうまくいきません。この層では、「自分は何が苦手で、どうしてそうなったか」を言葉で整理して書けるようにする力を育てます。たとえば、「理科の記述で“理由”を書くといつもズレてしまう」「国語の記述で、“何文字で書けばいいか”に迷ってしまう」など、ふり返りノートやチェックリストを使って、自分のミスやつまずき方を自分の言葉でまとめていきます。そうすることで、勉強がただの作業ではなく、「自分の課題に向き合う時間」に変わります。また、自分で自分の苦手を説明できるようになると、先生にも相談しやすくなり、アドバイスの受け取り方も変わってきます。感覚ではなく、言語化することで、「何をどう直せばいいか」がハッキリ見えてきます。中学生になってから「勉強のやり方がわからない」とならないためにも、今のうちからこの力を育てていくことが大切です。

⑥ 対策計画接続 苦手を“どう直すか”につなげる力

苦手が分かっただけでは意味がありません。「じゃあ、何から始める?」「どうすれば直せる?」と具体的な行動につなげることが、苦手克服には不可欠です。この層では、見つけた弱点を「対策プラン」に変える力を育てます。たとえば、「図の読み取りが弱い→1週間で3枚の資料問題を解いてみる」「記述があいまい→型を意識して2パターン書き直す」など、すぐに実行できるレベルにまで落とし込むのがポイントです。個別指導では、分析→記録→修正の流れを先生と一緒にくり返すことで、“苦手が放置されず、すぐ対策に動ける”習慣がついていきます。「苦手が分かったのに、何もしない」で終わらないこと。それが中学・高校の勉強でもっとも差がつく力になります。自分の弱点を理解し、自分で対策を立てる力があれば、苦手はむしろ“成長のチャンス”に変わります。