塾に通う時間が、単なる「勉強のための時間」で終わってしまうのは、少しもったいない気がしています。
もちろん、教科の内容を覚えること、点数を取ることは大切です。けれど、子どもが塾を出たあと、「今日、少し前に進めたかもしれない」「あの考え方、明日も使えそうだ」と、自分の中に小さな何かを持ち帰れていたとしたら、その学びはもう一段、深い意味を持っているのではないでしょうか。
私たちがめざすのは、“通わせるための塾”ではなく、“何かを持ち帰れる塾”です。それは、知識でも、方法でも、自信の芽でも構いません。たとえそれが点数としてすぐに表れなくても、「今日の学びが、明日の行動のヒントになっていた」と思える時間を届けたいのです。
たとえば、「今日は間違えたけど、理由は自分で説明できた」とか、「先生と話していて、“こうやればいいかもしれない”と思えた」といった経験。そうした小さな気づきが、子どもを“やらされる勉強”から、“自分で動く学び”へと変えていきます。私たちは、その変化の瞬間を見逃さず、静かに背中を支えることを大切にしています。
多くの保護者の方が、「自分で机に向かえるようになってほしい」「自分から計画を立ててほしい」と願っていることと思います。そのためには、正しいやり方を教えるだけでは足りません。「自分で決めた」「自分で動けた」という経験そのものが、子どもの中に“動ける人間なんだ”という実感を育てていくからです。私たちは、学習内容の指導だけでなく、そのプロセスを本人が意識できるように、声かけやふり返りを通してサポートしています。
また、学年やコース、目標の違いを越えて、それぞれの子が「今の自分の立ち位置」で向き合えるようにすることも大切にしています。難関校を目指す子にも、成績に波がある子にも、小学生にも、高校生にも、それぞれの「今」があります。私たちはその「今」に価値を見出し、そこから一歩踏み出す準備を整えることが、塾としての大切な役割だと考えています。
通う場所が「安心できる居場所」であり、「動き出せる場所」であったなら、塾は勉強だけではない意味を持ちます。少しずつでも、自分で進めるようになった。言われなくても、自分でやってみようと思えた。そうした子ども自身の感覚が、未来を切り開く力になります。私たちは、ただ教えるだけではなく、子どもが自分の成長を感じ取れる場面を、丁寧に用意する塾でありたいのです。
そして何よりも、「今日ここに来てよかった」と思えるような時間を、子どもたちが日々持ち帰ってくれること──それこそが、塾にできるいちばん確かな支えであると、私たちは信じています。
教室代表