小学5・6年 苦手を見つける

「力の現在地を見つめる」

「算数が苦手かもしれない」「国語がよく分からない」——そんな思いを持っていても、本当はどの場面で立ち止まっているのかを、自分でもよく分からないことは少なくありません。この段階では、算数や国語、理科や社会を細かな単元ごとに分けて、「どこから苦手になったのか」を見つけていきます。たとえば、算数なら──「割合の計算だけならできるけど、文章題になると止まってしまう」国語なら──「漢字は覚えたけど、文章の中で出てくると意味がつかめない」そんなふうに、自分のつまずきの“場所”を一つひとつ見つけていきます。ただ「苦手」と思っていると、気持ちは重くなるばかり。でも、「ここからやり直せばいい」と分かれば、心は自然と前を向きます。苦手の正体が見えれば、不安は小さくなる。学びの再出発は、つまずきの位置を正しく知ることから始まります。同じ単元を学んでいても、ある子は「言葉は知っているけれど、使いこなすのはまだ」またある子は、「操作はできるけれど、なぜそうなるのかが説明できない」──そんなふうに、止まっている地点は人によって少しずつ違います。この段階では、「知っている」という入口から、「使える」「応用できる」という出口までの間にある“いま、どの段階に立っているか”を見つけていきます。たとえば──理科で「実験の名前は覚えているけれど、どうしてその結果になるかは答えられない」社会で「用語は知っているけれど、地図や資料とつなげると戸惑ってしまう」算数で「計算はできるけれど、文章になると考えが止まってしまう」そんな姿に出会ったとき、私たちは「できていない」ではなく、「ここまでは育っている」と受けとめます。指導では、一人ひとりの理解の深さに合わせて、「この先をどう伸ばしていこうか」と、無理なく、けれど確かな設計を描いていきます。「ぜんぶ分からない」ではなく、「ここまではできる。ここから育てていこう」──そう思えたとき、学びは少しずつ、でも確実に動き出します。

「課題を整理し、見える化する」

テストで思うように点が取れなかったとき、それは「内容を知らなかったから」だけではありません。「どんな形で問われたか」によって、うまく力が出せなかったことも、きっとあるはずです。この段階では、「記述式」「選択式」「図やグラフを使った問題」など、問いの“かたち”ごとに、どこに手ごたえがあるか、どこでつまずいているかを、見つめていきます。たとえば──「選ぶ問題ならスムーズに解けるけれど、書く問題になると筆が止まってしまう」「図が出てくると、急にどこから考えればよいか分からなくなる」「記述は好きだけれど、時間が足りずに途中で終わってしまう」こうした“問いの姿”による違いに気づかず、「この教科は苦手」とまとめてしまうと、本当は力があるところにも、自分で気づけなくなってしまいます。だからこそ、「かたちごとの得意・苦手」を知ることは、勉強の道すじを準備する大切な第一歩です。自分の得意なかたちで自信をつけ、苦手なかたちも、「こうすれば大丈夫」と一つずつそろえていく。それが、“問題の解き方”ではなく、“自分の力の使い方”を学ぶことにつながるのです。テストや問題演習のあとに、「ケアレスミスでした」と言って終えてしまうことは、誰にでもあるかもしれません。けれど、それだけでは、本当に直すべきところには、まだ届いていないことが多いのです。この段階では、「どうしてこの答えになったのか」「どの段階で、考えがズレていったのか」その小さなすれ違いを、先生と一緒にていねいにさかのぼっていきます。たとえば──「式の立て方は正しかったのに、途中で数字を書き間違えていた」「設問の条件を、読み飛ばしていた」「選択肢が似ていて、判断の軸がぶれてしまった」こうした“間違いのかたち”には、その人ごとの思考のくせや、読み方の甘さが隠れています。大切なのは、「なぜ、こうなったか」に目を向けること、そして、そのズレを次につながる“学び”に変えていくことです。間違えること自体が悪いのではありません。同じ間違いを、もう一度繰り返さないための視点を持てるかどうか──そこに、成長の分かれ道があるのです。ふり返り、気づき、修正する。その積み重ねこそが、やがて自分を支える“確かな力”になっていきます。

「次への一歩をつなぐ」

受験に向けた学びでは、「むずかしい問題にどう立ち向かうか」が大切になります。この段階では、教科ごと・単元ごとに“よく出る型”を見きわめ、その考え方を何度もくり返し、体にしみこませていくことを目指します。たとえば算数なら、・つるかめ算・面積図・比の三段階の考え方 など、国語では、・記述の三つの流れ(理由→根拠→まとめ)・対比の読み取り方 など、「この問いには、こう考える」という“型”を整理し、自然に引き出せるようにします。応用問題で戸惑う子の多くは、「考え方のくせ」がまだ整理されていないだけなのです。だからこそ、手順だけを覚えるのではなく、「なぜこの問いが成り立つのか」「どこに目を向ければいいか」といった“問いの土台”からじっくり育てていきます。応用に強くなるとは、むずかしい問題にすぐ正解することではありません。初めての問題にも「見たことがある型」で冷静に対応できる思考の準備があること。その“型の備え”こそが、本番であなたを支える力になります。「ここが苦手だった」と気づいただけでは、成長にはつながりません。大切なのは、気づいたことを“すぐにできる行動”へとつなげる力です。たとえば、「図の読み取りがにがて」なら → 1週間で図を使った問題を3問解く「記述が不安」なら → 決まった型にそって2つ書き直してみるといったように、すぐに取りかかれる小さな行動に分けていきます。指導では、先生といっしょに、「分析する」→「ふり返る」→「対策を立てる」という流れを何度もくり返すことで、弱点に対してすぐ動ける習慣を準備していきます。「気づくだけ」で止まらず、「手を打つ」までを当たり前にしていく。この積み重ねこそが、中学・高校の本格的な学びを支える“行動力の土台”になります。苦手に気づける人は多い。けれど、そこから“すぐに動ける人”だけが、着実に力を伸ばしていくのです。

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