小学5・6年 考える力を育成

「大事な情報をつかむ」

長い文章や複雑な図を前にすると、「何が大切なのか、よく分からない…」と感じることはありませんか。実はそれは、中学生でもよく見られるつまずきであり、小学生のうちから育てておきたい力のひとつです。この段階では、「どこに注目すれば、問題のヒントが見えるか」「どの言葉や数字が、考える手がかりになるか」——必要な情報を拾い上げる力を、じっくり育てていきます。たとえば、「この長文の中で、計算に使う数字はどれかな?」「グラフを見るとき、まず見るべきところは?」そんな問いかけを通じて、情報の見つけ方そのものを一緒に練習していきます。ただ「読む」のではなく、「考えるために読む」という視点。ただ「見る」のではなく、「必要なものに気づく」という習慣。この力は、算数でも、国語でも、理科・社会でも、すべての学びを支える土台になります。「読み飛ばすのではなく、じっと拾う」この読み取りこそ、のちの深い思考につながる第一歩なのです。「問題を解こうとしたけど、頭の中がごちゃごちゃして、どう始めていいかわからない…」そんな経験をしたことはありませんか?実はそれは、情報をうまく並べ替えたり整理する力が足りていない証拠です。この段階では、集めた情報を「どの順番で使うべきか」「どこがつながっているか」この2つのポイントを整理する力を身につけていきます。たとえば、「まず何を計算するか?」「どの情報が、他の情報とつながっているか?」「時間は最初か、それとも出来事が先か?」こんな風に、考えを始める前に整理しておくポイントを一つひとつ練習していきます。中学に進んでも、複雑な文章題に取り組む際に「最初にどこから手をつけるべきか分からない」ということはよくあります。ですが、もし「情報を整理する習慣」が身についていれば、「これは今やるべきだ」「あれは後で確認しよう」と自然に順番を組み立てられるようになります。「考え始める前に準備しておく」この小さな整理が、後々の迷走や時間ロスを防ぐ大切な基盤になるのです。

「考えを深める」

「どうしてそう思ったの?」と聞かれたとき、「なんとなく」ではなく、しっかりと理由を伝える力は、勉強でも生活でもとても大切です。この段階では、「こういう条件だから、こうなる」「AとBをくらべたら、こうちがう→だからAが正しい」といったように、理由と答えをつなぐ練習をくり返します。たとえば——・「雨が降っていた→だから試合は中止になった」・「グラフの動きが変わった→だから気温が上がったと考えられる」このように、「理由→結果」の流れが自然につかめるようにしていきます。中学生になると、「答え」だけでなく、「なぜその答えなのか」を説明する問題が増えてきます。小学生のうちに、「すじみちを立てて話す練習」をしておくことで、記述や発表にも自信が持てるようになります。言葉にして、伝える力は、一生の武器になります。その小さな一歩を、今ここから積み上げていきます。「こう思ったから、これが正しい!」で止まってしまうと、自分の考えに固まりすぎてしまい、他の可能性に気づけなくなります。この段階では、自分とは違う立場や見方からも考えてみる力を育てていきます。たとえば、「この場面を別の人の立場で見たらどう感じる?」「もし反対の意見だったら、どんなことを言う?」といった練習を通して、一つの考え方にしばられず、柔軟に思考を広げることを目指します。中学生になると、社会や国語の記述問題などで「多角的に見る力」が必要になりますし、ディベートや作文でも「他の意見をふまえたうえで自分の考えを述べる」ことが求められます。この力が育つと、自分の意見に深みが出るだけでなく、「間違いに気づける」「納得して修正できる」といった成長にもつながります。思考の広がりが、“かしこい子”ではなく、“考え続けられる子”をつくっていきます。

「自分の言葉で伝え、成長する」

「考えはあるのに、うまく書けない…」そんな気持ちを、感じたことがある子も多いのではないでしょうか。この段階では、「まず言いたいこと → なぜそう思うか → 最後にまとめる」という、わかりやすい文章の形(かたち)を身につけていきます。たとえば——・「だから」「しかし」などのつなぎ言葉(接続語)を使って、流れをなめらかに・内容ごとに段落をわけて、読みやすく・大事なことをきちんと伝える言い方を考える——書くときに順番や伝え方を考えられるようになると、国語の記述問題だけでなく、理科・社会・英語でも役に立つようになります。また、書きながら「自分はどう考えているのか」が見えてくるようになり、考えをまとめる力・見直す力・人に伝える力が、自然と育っていきます。考えることと書くことは、バラバラではありません。心の中の考えを、自分の言葉で表していくこと。それがこの段階の大きな成長のしるしです。「これでよかったかな?」と、自分の考えや書いたことをもう一度見直す力は、中学生になってからも、ずっと大切に使い続ける力です。この段階では、自分で自分の考えをていねいにふり返り、必要があれば少しだけ直す、そんな“考え直す力”を育てていきます。たとえば——・自分の答えを読み直して、「すじ道は通っているかな?」と確かめる・友だちの考えとくらべて、「自分には見えていなかったことはあるかな?」と考える——大切なのは、「まちがっていた」ことよりも、「気づけた」こと。そして、「次はこうしてみよう」と、自分で工夫して前に進むことです。こうした習慣が身につくと、まちがいは“ダメなこと”ではなく、“成長のチャンス”に変わっていきます。どの教科でも、どんな場面でも、自分で考えを直せる子は、ゆっくりでも、着実に力をのばしていきます。自分の考えを見つめ直すこと。それが、「本当に考える力」のしめくくりとなります。

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